映像制作団体ビギナーズ活動ブログ

理科大生を中心とするメンバーで、主に神楽坂で活動する映像制作団体「ビギナーズ」のブログです。活動報告、告知など随時更新していきます。

『カサブランカ』感想 ~照明による演出、視線誘導によるカットのつなぎ方~

 

 こんにちはー。最近新しくレジ打ちバイトを始めてわりと楽しいおかもーです。


 今日も最近観た映画の感想を書いていきたいと思います!
 作品は『カサブランカ』です。

 

カサブランカ 特別版 [DVD]

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 第二次世界大戦にアメリカが参戦した1942年に製作・公開された映画です。

 第16回アカデミー賞を受賞した言わずと知れた名作映画です。
 「メロドラマのお手本」とも評されていますね。

 今回はこの映画について、映像制作修行中の人の観点から述べていこうと思います!


 なんといってもこの『カサブランカ』は、照明による演出がすごいです。
 NHKで放映された『ハリウッド白熱教室』でも、この『カサブランカ』の照明について説明されていました。

 

www.nhk.or.jp

 

 取り上げられていたのは、かつての恋人・リックとの再会を遂げたイルザが夫とともに店から出て外を歩くカット。

 灯台らしきものから放たれる光が、イルザの表情に影を作ってはまた光を与えます。
このライティング、一見なんてことないですが、もしこれが明るいまま歩いていたらどうでしょう。イルザの複雑な心境が画面からにじみ出ることはなくなってしまうのではないでしょうか。

 

 個人的には、閉店後の店で酒を飲みながらイルザが来るのを待つリックのもとに、まさに本人が現れるカットが好きでした。
 はじめはイルザはリックのいる部屋の奥の廊下に現れます。ここが白く照らされていて、彼女の登場がすぐにわかるだけでなく、はっとするほど美しく感じられるのです。
被写体深度が深いからこそなせるわざですね。こういう奥行きのある演出、とても好きです。

 白黒映画のほうが照明の技術がはっきりわかる気がします。魅力的なライティングが他にも随所に散りばめられているので、是非ご覧になってみてください。

 

 『カサブランカ』が映像制作者にとって参考になるポイントはほかにもあります。
 その一つが『シーンごとのカットのつなぎ方』です。

 自主制作映画を撮っていると、シーンや場所の転換のときのカットのつなぎ方に頭を悩ませることが多いです。それは他の映像制作をしている人もそうではないでしょうか。どうにもつなぎがうまくできないから、謎の風景カットや物をアップで撮ったカットを入れてみたり・・・。私もよくやってしまいます。


 『カサブランカ』ではカットのつなぎ方として、「視線誘導」をうまく用いています。あるショットでAが右から左に移動して終わったなら、次のショットで最初にアクションを起こす人物であるBは、画面の中でさきほどのショットで最後にAがいたところあたりに配置して、そこから演技を始めるのです。こうすれば観客の視点がカットごとに彷徨わずに済むため、カットごとに登場する人物が違っても、自然なカットのつながりに見えます。
 つまりカットをつないだときになんとなく「自主制作感」が出てしまうのは、このカットつなぎが観客の目線の動きを意識したものになっていないから、という理由が考えられますね。
 

 余談ですが、視線誘導ショットで言うと映画『ホットファズ』のとあるショットが大好きです・・・。主人公たちが署内を見学中に署長が紙を放り投げ、その直後にカットが切り替わり、その紙の軌跡の先で署長が手をパン!と叩くカットです。見学終了、というわけですね。時間経過を不自然さを全く感じさせずに短縮させて描くことに成功しています。音のつなぎ方と相まって非常に小気味いいカットになっていますし、人間はアブノーマルな動きをするものを思わず目で追ってしまうのだということを、身をもって体感させられました。
この『ホットファズ』、めちゃめちゃ面白いのでいつかこれについても記事を書きたいところです。

 

 

 いかがでしたでしょうか? 最後ちょっと話がずれちゃいましたが、『カサブランカ』は演出の面でもまさに一級品の映画です。まあ、プロバガンダ丸出しな部分もありますが、『時の過ぎ行くまま』の切なさといったら! この素晴らしいドラマを、プロの演出が最高潮に盛り上げているわけですね。

 機会があったら、是非ご覧になってみると、いろいろと発見があるのではないかと思います!

 

 今日のところはここまで!
 最後までお読みくださりありがとうございました☆