ファーストカットの重要性について考える~進撃の巨人 後篇 エンドオブザワールド&キングスマン爆音感想~~
こんにちは! 今日『掟上今日子の備忘録』観て面白かったのでハッピーな気分のおかもーです。ガッキー超かわいい。岡田くん演技上手い。
はい、タイトルの通り、先日進撃の巨人の後篇とキングスマン爆音上映を観に行ってきたわけですけれども。
※ちなみに同日(@立川シネマシティ)
観た順番はキングスマン→進撃の巨人です。
各上映回の間が40分程度しかなかったので(ちなみにその間に近くのマックで友人とビックマックを食べてから再び映画館に戻ってくるという所業を成し遂げました。なぜビックマックかは・・・わかりますよね?)、前の映画のカット割りやリズム感が頭に残っているうちに次の作品を観ることができました。
そもそも全然違う映画なので、当たり前のように違います。しかし今回はあえて、「私の考えるいい『ファーストカット』」という観点で二つの映画を見ていこうと思います。つまり完全に持論です。かつネタバレです。見たくない方はマジでご注意ください。
(あと、キングスマンの話何回すんだよテメ―!と思わる方もおられるでしょうが、今回でたぶん終わりにしますのでどうかご容赦ください)
最初に言います。私の好きなファーストカットは、「そこに作品の世界観が現れているもの」です。
どういうことか具体的に観ていきましょう。まずはキングスマンから。
キングスマンのファーストカットは、何かわからないレベルでアップされたカセットテープからカメラが引いていき、二人の兵と中東の景色が映り、その奥からヘリ登場→二人の兵やられる→カメラヘリ追っていく→爆破という一連のロングショットです。これがBGMの「Money for Nothing」と瓦礫のように転げ落ちるスタッフクレジットとともに流れます。このリズム感のよさ、ワクワク感たるや今まで観た映画の中で一番のレベルでした(ちなみにこのカット、爆音で観ると最高でした)。ここで心臓わしづかみにされた方も多いのではないでしょうか。
私はこのファーストカットを観たときもうすでに、「あ、この映画好きだわ」と確信しました。それくらい強い吸引力があったわけです。
このカットを観た時点で、この映画がノリノリの映画だということはすぐに判別がつきます。また、出てきた人間がすぐ死ぬあたりからも、これからどんどん人が死ぬであろう映画(笑)だということも予想できるわけです。ここに決して英国紳士らしさが出ているわけではありませんが、作品のテイストは十分伝えることができていると思います。また、単純にひきつけられるカットとなっています。
映画におけるファーストカットというのはその映画の「顔」と言っても差支えないと思います。
もちろん、ファーストカットに正解なんてあるはずないです。でもそれを観た時点で、その映画が好きか嫌いかを無意識に判断している観客の方はかなり多いと思います。本屋の立ち読みと一緒ですよね。最初の数行読んで、よさげかどうか見る。よかったら買う、あるいは読み続ける。映画は一度観始めたら(特に映画館では)最後まで観る人がほとんどだと思いますが、「もう一度観たい映画かどうか」はもうファーストカットで勝負が決まってるなんてことも、あるかもしれません(もちろんその限りではありませんが)。
たとえば私の印象に残っているファーストカットの映画として、「時計仕掛けのオレンジ」があります(一回しか観てないので、ほんとのファーストカットじゃなかったらごめんなさい)。
これは主人公アレックスの超・クローズショットから始まり、だんだんとカメラが引いていきます。最初こそアレックスの表情が普通のようにも見えますが、なぜかカメラが引いていくにつれて不思議なことに異様さを感じるようになるんですね。さらに引いていくと、どこか普通じゃない彼らのファッションや、乳首からミルク・プラスを出す白い女性の像なんかが見えてきます。これで私たちは、アレックスたちのいる場所がいかにも怪しい場所であること、さらにはこの映画そのものが持つ異様な空気に気付くことになります。これは本当に見事だと思いました。
ただ超クローズ→引きのショットが好きなんじゃねーの!? と言われかねないチョイスではありますが、でも実際にかっこいいんだから仕方がないのです。
ロングショットで情報を多く見せるというのは非常に難しいことですが、そのぶんカットを細かく割るよりも観客の方に緊張感をもたせつつ映像に引き込むことができるというメリットがあると思います。
はい、だらだらしゃべりましたが「じゃあ進撃の巨人(後篇)はどうだったんだよ!」という話ですよね。これから書きます。
後篇の最初にあった前篇のダイジェストはファーストカットとはみなしません。私が定義する進撃後篇のファーストカットは、ずばりあの「注射器の超クローズアップショット」です。あの針準備して、ぽたぽた注射液垂らすやつね。しかもそれが、結構長い。なんか気持ち悪いスタッフクレジット挟みながら続く。
あれ観て私が思ってしまったのは、「え、この映像時間とって見せる必要ある?」でした。だって注射器なのは一瞬見ればわかるし、針先と液だけ見せられても緊張感ないし。普段見ている光景だから。
そう、いつも見る光景なんですよ。ファーストカットがね。巨人が出てくる話なのに。超・非現実的な世界の話なのに。あれでは世界観もなにもありません。
「でも、進撃の世界で注射器が日常的に使われているかどうかはわからないじゃない! もしかしたら超非現実的なアイテムかもしれないじゃない!」
はい、そういう反駁もあるかもしれません。しかし実際には、わからないことが問題なのです。だって、原作既読の人ならあの世界で注射器使うのは知っているし、映画しか観てない人も、注射器があの作品の世界で珍しいものだという説明をあらかじめ受けていないので、興味を引かれる理由がありません。よってあのショットは世界観を見せるものにはなっていません。前提がないからです。よって、あの注射器の映像は観客をひきつけるものにはなっていないと私は考えています。
屁理屈くさくなってきてすみません。しかし、あれを見せるなら途中で出てきた謎の白い部屋みたいな「明らかに」世界観とちぐはぐなものをファーストカットで見せるなりして、観客の違和感みたいなのをあおって作品に引き込むのがスマートなやり方ではないのか? と、観ながら私は思ってしまったわけです。
また、レンズや色調、音楽もそのあとの演出とマッチしていませんでした。なので、作品のテイストの説明にもなっていないと思います。あとでその感じがもう一度出てくるならそのファーストカットが活きてくるので話は別なのですが、どうも実写版進撃は前篇のミカサのピアノ演奏シーンといい、謎の雰囲気シーンが単発で何度も入る印象がありますね。これが作品のテイストや世界観に統一性を持たせられていない理由の一つだとは思いますが、まあそれはいいでしょう。
ファーストカットの話に戻りますと、そこで出てきたスタッフクレジットの文字に付随する細胞分裂的ななにかは「世界観を伝えるもの」には入らないと私は見なしました。なぜかというと、先走りすぎてて「観客にとってはまったく意味のわからないシロモノ」だから。しかも文字だからです。文字演出を映画の演出の鍵に使うというのは、よくないことだと私は思います。なのでノーカンです。
あとこれはファーストカットではないですが、そのあとのエレンの父親役の草なぎさんの魚眼ショットは・・・怪しさを演出しようとしているのでしょうが、ちょっとギャグ感が出ているなあ、と私は感じました(むしろ狙ってるのかとすら思った)。魚眼は使いどころがムズカシイですね。
まあそんな感じで、まとめるととにかく「ファーストカットは世界観を表すものがいい!」というだけです。私の好みですので別に伝えられても・・・ってとこだと思いますが(笑)
あと、自分でそういうカットが撮れるかどうかはまったく別の話です!(汗)なので、どのようなものであれ、とにかく一つの作品をきちんと作り上げたスタッフの方々は本当にすごいと思います。ペーペーが好き勝手意見言わせてもらってるのはどうかご容赦ください。(言い訳)
こういう記事って完全にブーメランなので(笑)、精進しないとですね。
以上です。ここまでお読みくださって、どうもありがとうございましたー!
脚本書きつつ、カンフージャングル観たいなーと思っているおかもーでした!